精神科にはなかなか足を運びにくいものである。しかし、内科で検査しても「異常なし」といわれ、薬を飲んでも動悸や吐き気などの体の症状がよくならず、受験生活を妨げられたり、日常生活に支障をきたしている場合は、その原因を精神的な面から考えてみるとよいだろう。精神療法やカウンセリングが必要な時に、薬だけを漫然と自己流で飲み続けてもなかなか効果は上がらない。逆に、適切に処方された精神安定剤が必要なのに、「あまり安定剤に頼るのはよくない」とか、「睡眠薬を飲み続けると、体によくない」という中途半端な知識で服薬を止めたりするのも合理的な対処法ではない。体に変調をきたしたら、A君のようにまず内科などで診てもらい、特に異常がなく安心すれば、それでよし。安心できず変調が続くのならば、心理相談や精神科治療をうまく利用するべきだ。心療内科なら一石二鳥だろう。大事な本番前に歯が痛まぬように、早めに歯科治療をしておくのと同じことである。ところでA君は高校時代、進路に迷った際、数学や化学を面白く感じたため、「とりあえずT大の理IとW大でも受けておこう」と決めたようである。一浪した年にK大の医学部を受験したのは、最難関に挑戦しようという意味での記念受験だったばかりではなく、潜在意識のなかに小さい頃から医者になりたかった自分に対する一種の釈明も含まれていたと解釈できる。しかし、いずれにせよ一浪目に本当に医師を志していたのなら実力に見合ったところを探していたはずだ。専攻を決めかねる場合、サイコロやコインの裏表で決めるように、合格した学部次第で決定するというのも時には便法であるが、「どちらでもよいのだ」と心底思っていないと大学受験には成功しにくいようだ。